”ヴィクトール・フランクル” の小説「夜と霧」のあらすじと要約、読んだ感想をお伝えしたいと思います。
感想にはネタバレも含みますので、まだ読んでいない人はご注意ください!
小説「夜と霧」のあらすじと要約
ナチス時代に強制収容所で逆境に立ち向かいながら生き抜いたユダヤ人精神科医、ヴィクトール・フランクルが書き上げたストーリー「夜と霧」をご紹介します。
フランクルは逃れられない理不尽な状況でもポジティブに生きることが出来ることを身をもって体験しました。
収容所から開放されて間もなくここで自分に起こったことを自分目線で書きつづり出版したのです。
家族を失い結婚したばかりの妻とも生き別れになるというどん底から収容され、使いものになるかの一方的な命の選別で、辛うじてガス室は免れながらも過酷な強制労働と低栄養状態にさらされ心は一度完全に壊れる寸前でした。
しかし、周囲の死んでいく人たち生き延びている人たちと過ごしながら、苦しみの中でも待っている未来に向かって今を行動すべきという結論に辿り着くのです。
きっかけになった理由の一つは、苦境でも与えられたもので出来る限り生活を楽しみ満足して今を生きようとする人たちを目の当たりにしたことでした。
でも、一番生きる意欲を掻き立ててくれたのは、現実には処刑されていても記憶からは誰も奪い得ない新妻と心で出会えたことでした。
作品のテーマは不幸な収容所の現実を伝えようとすることではなく、苦境の中でも前に行動する生の肯定の意義を伝えるストーリーです。
ここからはネタバレを含んだ感想となりますので、まだ読まれていない人はご注意ください!
小説「夜と霧」の感想(ネタバレを含む!)
NHKの教育番組で「夜と霧」について討論する番組を以前みたことがあって、内容についてはある程度知っていました。
書店で見つけ時間があるときに読んでおこうと思って手に取りました。
子どもが生きることを考える年齢になったら絶対読んでもらいたい一冊です。読み終わった後本棚の目立つ所にしまいました。
先日向かいのマンションで中学生の飛び降り自殺があり心を痛めました。
いじめの事実があったようですが「もしこの本を読んでいたら」と本当に傍からの暴言なのかもしれませんが独りで思っています。
うちの子供たちは友達も多く今のところいじめられるようなタイプではありませんが、もしそういう状況になったら「生の肯定」を絶対出来るのか今答えは出ません。
自分もそうですが、我が子がナチスの収容所のような生活を強いられる未来があったら、この本に救われるだとうと思います。
私は収容所のような体験を今まで何度もしてきたと思います。
学校で誹謗中傷されたり、職場でパワハラに合ったり、何度となく心がズタズタになるような日常が続いた経験が思い当たるのです。
ただ、必ず朝が来て、子供時代は学校に・・、大人になれば会社に向かうことになりました。
本を読みながら私はどちらかと言うと収容所で生を肯定していた人たち、何とか楽しみを見出していた人たちサイドの人間だったかなと思いました。
ただ、必ずフランクルがそうだったように、完全に心が消えてしまいそうな苦痛をその都度通っていたと思います。
収容所を繰り返しながら、基本的には生を肯定するサイドに辿り着いたと思います。
私の収容所は一回一回ナチス程過酷ではなかったので、何度も繰り返す必要があったのかもしれません。
いずれにしてもどの収容所も体験すべき人生のプロセスだったと思うし、これからもまた行くことになるでしょう。
この本にもっと早く出会っていたら、もっと早く苦しみの意味を理解出来て楽だったのではないでしょうか。
だから我が子には人生の早い段階でこの本をすすめたいと思います。
まとめ
「夜と霧」はヒトラーによる、都合の悪い政治犯を夜の霧のように消し去る政令でした。
「私は全世界で一番不幸で生きていてもしょうがない」などと夜の霧のように自分が消されてしまいそうになったら、逆にこの「夜と霧」を手に取って思い切りポジティブになって欲しいです。

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