”三浦しをん” さんの恋愛短編小説集「君はポラリス」のあらすじと要約、感想をお伝えしたいと思います。
感想にはネタバレも含みますので、まだ読んでいない人はご注意ください!
「君はポラリス」のあらすじと要約
本書「君はポラリス」は恋愛をテーマに書かれた11の小説を収録した短編集です。
・三角関係
・最後の恋
・王道、信仰等
このように、恋愛の様々な形を描いています。
各編20~50ページほどで書かれており、普段読書をしない方や隙間時間に読書をしたい方にもおすすめです。
また、少女漫画や火曜10時のドラマのような王道の恋愛小説ではないので、甘々な恋愛物語に飽きた人も面白く読めるのではないでしょうか。
『君はポラリス』の感想(ネタバレ含む!)
前述したように本書は一般的に想像されるようなベタベタの恋愛小説ではなく、色んな解釈の「恋愛」が描かれています。
これは恋愛なの…?と思ってしまうようなお話もありました。
「恋愛」とは自分が想像している以上に色々な形があって、きっとそれは十人十色で誰のものに触れても共感しきれないものなのだろうと思わされました。
以下、特に好きな短編三作の感想を。
短編『裏切らないこと』の感想
え!?と思うような始まり方をするお話。
主人公は嫁と息子を持つ不動産会社で働くサラリーマンです。
実は過去にこのお話を読んだことがあり、当時10代だった私はこの話の意味が全然分かりませんでした。
10年近く経った今、世の中の酸いも甘いも経験した私の心には本作の良さが沁みました。
絶対に裏切らないと思ってくれる人が居るってとても素敵なことです。
短編『春太の毎日』の感想
恋愛とは男女だけのものではなく、はたまた人間だけのものではないのです。
私たちは色んな愛に包まれて生きているのかも知れません。
ほのぼのした内容ですが、読み進めると驚きと切なさがある一作。
私はこのジャンルに弱いので大号泣しました。
(どんなジャンルかは読んでのお楽しみ)
短編『冬の一等星』の感想
本作はある女性が主人公。
彼女には密かな趣味があり、その趣味の起点となった経験のお話。
愛とは誰からでも、どんな形でも、きっとその人を一生照らしていくものなのだと感じました。
刹那と共に”自分の愛も誰かを照らしているのかな”とほっこりした読後感が残る作品です。
巻末の解説は中村うさぎさんが執筆しており、それがまたとてもよかったです。
本の構成も少し面白みがあって、本を閉じる時長い空の旅を終えてふわっと着地するような感覚になりました。
まとめ
「恋とは」「愛とは」と考え直させられると同時に、「愛」の尊さを感じる作品でした。
読んだらきっと大切な人が頭に浮かぶと思います。
世代によって感じ方や解釈が違う一冊だと思うので、幅広い世代の方におすすめできます。
わたしもまた5年後、10年後に再読したいです。
きっとまた違った感想を抱くはずだから。
本棚の奥にそっとずっと置いておきたい、そんな一冊です。

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